数年前からでしょうか、京都市街地の我が家から、とても良い鳥の声を聴くようになったのは。近所で鳥でも飼いだしたのかといぶかしむほどの美声です。声量豊かで、節回しも多彩、本当に聞きほれてしまうような声なのです。窓から声の方角を探すのですが、高い建物に挟まれた我が家からは確認できません。なんとももどかしい思いをしていました。
 そうこうしているうち、近所を散歩していて一見黒づくめの見慣れない鳥に出くわすようになりました。大きさはヒヨドリほど。帰って図鑑やネットなどを検索するとイソヒヨドリという鳥らしいことがわかりました。この鳥はとても良い声の持ち主とのこと、ネットで聞こえたその声は、まさしく我が家から聞こえる鳥の鳴き声そのものでした。今年になって自分の目でも鳴いている姿を目撃することができ、もどかしい思いが払しょくされたのでした。

 何とかその姿を写真に収めようとチャンスをうかがうのですが、高い建物の上などに止まっていることが多く、街中で突然出くわしても望遠レンズなどを取り出して写真を撮るのも気が引けます。そんな中ちょっと郊外の住宅地でその姿を捉えることが出来ました。

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 イソヒヨドリの雄(2021年4月23日 三宅八幡にて)

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 イソヒヨドリの雌(2021年4月23日 三宅八幡にて)

 当初は薄暗い時に見たため黒っぽい色に思ったのですが、明るいところで見ると雄の背中は濃いブルー、腹側はえんじ色のツートンカラーでとてもきれいな鳥でした。一方、雌はちょっと地味な姿です。

 さてこのイソヒヨドリ。本来は名前の通り海岸の崖などが主な生息地だったそうです。それが近年内陸の都市部などにも進出しているとのこと。鳥好きの人達には注目されていた鳥だったようです。たしかに市街地でも高い建物の上などで囀っていることが多いようです。海岸の断崖に見立てているのでしょうか。  

 近年、新たに進出してくる生物種はほとんどが外来種、あまり歓迎されないことが多いのですが、このイソヒヨドリ、もともと日本にいた鳥です。渡り鳥でなく一年中国内にとどまる留鳥なのです。いまのところカラスのように人の生活に迷惑をかけるわけでもなく、見た目も美しく、おまけに良い声で囀ってくれます。大歓迎、おおいに定着してほしいものです。