今回は昨年7, 8月の写真をお届けします。



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 車も茅の輪くぐり

 京都に来るまで茅の輪(ちのわ)くぐりという行事自体ほとんど知らずに過ごしてきましたが、こちらではこの時期(6月の晦日あたり)になると、多くの神社で茅の輪が設置されていて、否が応でも目に入ります。もっとも、歳をとって日本の伝統的なものに興味が向いてきただけかもしれません。
 写真は城南宮の車のための茅の輪です。偶然通りかかって見つけたのですが、ここまでするかとちょっとびっくりです。ホームページを確認するとさすがに全国的にも珍しいようです。

(2018年7月1日 城南宮にて)



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 ヒメヒオウギズイセン
 
 銀閣寺近くの疎水の土手に、朱色の花が群生していてました。西日に照らされて朱色が引き立ちます。調べるとヒメヒオウギズイセンのようです。南アフリカ原産のアヤメ科の園芸植物。各地で野生化しているようです。この群落も植栽されているというより、勝手に育っているという印象でした。

(2018年7月2日 銀閣寺疎水にて)


 ところで名前にヒオウギとつく植物は多数あり、非常にややこしいとになっています。ちょっとおさらいしてみましょう。

 まず本家本元のヒオウギから。
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 ヒオウギの花

(2018年7月18日 京都府立植物園にて)

 ヒオウギは日本原産のアヤメ科の植物です。京都では祇園祭にこの花を飾る習慣があります。名前のヒオウギとは檜扇、宮中で使われた木製の扇のこと。ヒオウギの葉が平たく扇状に広がっている様が、この檜扇に似ていることからの命名です。

 お次はヒメヒオウギです。
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 ヒメヒオウギの花

 こちらは南アフリカ原産のアヤメ科の園芸植物。ヒオウギより小型で朱色のほか白、赤、赤白など多様な花色の品種があります。
 上の写真は、実家の庭に植えたわけでもないのに突然現れたそうで、母親が撮って送ってくれました。

 次はヒオウギズイセン。ヒメヒオウギと同じ南アフリカ原産のアヤメ科ですが別属、ワトソニア属の園芸植物がヒオウギズイセンと名乗っていることがあるようです。

 最後にヒオウギアヤメ。こちらは日本原産のアヤメ科のいかにもアヤメといった風情の植物です。檜扇に形状が似ていたことからの命名です。ちなみに文仁親王妃紀子さまのお印だそうです。

 以上整理すると、日本産のヒオウギとヒオウギアヤメがあり、そこに南アフリカ原産アヤメ科の園芸植物が多数流入。業者により(?)ヒメヒオウギだの、ヒオウギズイセンだの、ヒメヒオウギズイセンだの、紛らわしい名前が作り出されてきたようです。動植物の和名は、付け足し式に長ったらしくなるものが多いのですが、もっと特徴を捉えた簡潔な覚えやすい命名ができないものでしょうか? 植物の名前に限らず外来語をカタカナでそのまま表したり、現代日本人の命名、言葉創りのセンス、努力が減少しているような気がしてなりません。



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 蓮花群生

 この時期の花といえばハスをはずすことはできませんね。ということで植物園で撮影した、多数の花が写りこんだこの一枚をピックアップ。

(2018年7月3日 京都府立植物園にて)



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 緑映すケヤキの床

 京都御苑の中にある閑院宮邸跡の床に写りこむ庭の緑です。ここの床は贅沢にもケヤキが使われています。その印象的な木目を強調してみました。

(2018年7月3日 閑院宮邸跡にて)



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 緑の中のチョウトンボ

 名前のとおり蝶のようにひらひらと優雅に飛び回るチョウトンボ。遠めには黒ですが、近づけば青や赤紫と光の加減で輝き見惚れてしまいます。

(2018年7月11日 深泥池にて)



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 祇園祭の四条通り夕景

 京都の七月といえばなんといっても祇園祭です。駒方提灯の点る長刀鉾から西を望んだもの。宵山の前でまだ四条通も歩行者天国になっていません。
 よく日本の風景を伝統的な古いものと新しいものが調和しているなどと言われることがありますが、写真のような景観をみると調和などと縁遠い気がします。美しい山鉾が異物として浮いて見えます。
 なぜ都市というと、世界共通、規格化された景観が増殖していくのでしょうか? 歴史ある日本の古都、京都ならではの都市景観というものが作れないものでしょうか?

(2018年7月13日 四条通りにて)



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 トンボの楽園、深泥池での一枚。シオカラトンボの雌雄が仲良く並んで止まっていました。上が雄、下が雌。小さいころは下のメスはムギワラトンボと別の名前で呼んでいた記憶があります。
 このように生物の雌雄で形質(色形、生態など)が異なることを性的二形といいます。雌雄でほとんど同じ姿かたちの生物もいれば、まったく別の生物かと見間違うような生物もいます。何故、同じ遺伝子を持っているはずの雌雄で違った形質が生じるのでしょうか? そもそも性的二形の程度が生物によって異なる原因は何なのでしょうか? 性的二形を巡る疑問は生物学の大きな研究テーマでもあります。

(2018年7月15日 深泥池にて)



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 アオバズク一家

 この年も京都御苑では少なくとも3組のアオバズクの番が子育てをしていました。雛が巣立った直後数日間は巣の周辺でごらんのような親子揃った姿が見られます。右の2羽が親鳥。左の3羽がこの年巣立った雛鳥です。人の目に付きにくい高い梢にいるので、木に邪魔されず親子そろった姿を撮影できるチャンスはそうはありません。この写真は京都新聞のフォトコンテストで選んでいただきました(リンク)。

(2018年7月16日 京都御苑にて)



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 ヘビウリの花
 
 見たことのある花だと思い、よく考えると小さいころみたカラスウリの花と瓜二つです。調べるとやはりカラスウリの近縁種、インド原産の植物でした。

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 ヘビウリの花と果実。
 
 ヘビウリの名前は写真のように果実が蛇のように細くくねくねと延びることから。花はそっくりでも、カラスウリの果実とは似ても似つきません。東南アジアの一部では若い果実を食用とするようです。

(2018年7月18日(花)、28日(果実) 京都府立植物園にて)



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 同床異視

 この時期植物園の蓮池にはカエルがよく見られます。警戒心が強いので、そぉーと近づいて写真を撮ります。浮き草で緑の染まった水面から、ちょこんと顔だけ出している姿がかわいらしいです。
 カエルを始めとした両生類は水辺の環境が必要で、世界的にも減少が危惧されているグループです。
 
(2018年7月18日 京都府立植物園にて)



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 虹色の水滴

 蓮葉の上の水滴が虹色に輝いていました。この色の原因はクモの糸です。葉の表面に張られたクモの巣の上に水滴がついていたのです。クモの糸はタンパク質が規則正しく整列した構造となっていて、回折という現象で分光します。その色が水滴を輝かしていたのでした。CDの表面がさまざまな色に輝くのと同じ原理ですね。

(2018年7月28日 京都府立植物園にて)

 クモの巣を撮影した写真をもう2枚ほど掲載しておきましょう。
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 虹の梯子

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 プリズム

(2018年8月26日 大文字山にて)

 ところで昆虫が作り出す繊維というとカイコが作る絹が有名です。クモの糸は強度の点ではカイコに勝るどころか、同じ重さの鉄の繊維よりも強いといいます。そんな優秀なクモの糸が繊維として利用されてこなかったのは、カイコに比べて飼育が大変ということがあります。カイコは草食、桑の葉さえ与えておけば成長しますが、クモは肉食、餌を調達して大量飼育するのが困難なのです。しかし、近年のバイオテクノロジーの進歩により、クモの糸の構成タンパク質の遺伝子をカイコに組込んで、カイコにクモの糸を作らせたり、大腸菌など微生物にクモの糸のタンパク質を作らせて、そこから糸を紡ぐなどの試みも行われています。将来はクモの糸で織られた衣類が出回るのでしょうか? 虹色に輝き見た目も綺麗かもしれません。
 一般にはクモの糸の利用は馴染みありませんが、学問の分野では過去にはクモの糸が重宝されたことがあります。それは天文学です。子午環と呼ばれる天体の位置を計測する機器や、天体撮影するために星の動きをモニターするための望遠鏡には精密な十字線が必要です。この十字線にクモの糸が頻用されたのです。手近に入手できること。非常に細く、かつ丈夫で伸縮性もあるクモの糸はこの用途に最適だったようです。こちらの文献(リンク)を見ると、クモの糸の利用に関する奥深い知識、技術が伺われて興味深いものがあります。



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 レンゲショウマ

 薄紫を帯びた白い花弁が魅力的なレンゲショウマです。薄暗い林床にうつむいて咲くのでなかなか撮影も大変です。花の周辺にはいつもしゃがみこんでカメラを向ける人の姿が絶えません。

(2018年7月28日 京都府立植物園にて)



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 日暮れを待つ

 京都のお盆の風物詩、五山の送り火で大の字が点される大文字山の火床は、西に向かって京都盆地が一望できる絶好の展望スポットです。とりわけ夕日や夜景は見事です。車で上がれないので混雑することもなく、適度の山登り気分が味わえるのも魅力です。北山にかかる入道雲は茜に色づき始めていました。

(2018年7月29日 大文字山火床にて)



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 愛宕山千日詣り

 愛宕山山頂にある愛宕神社は火伏せの神として現代も多くの参拝者で賑わいます。とりわけ7月31日夜から8月1日早朝にかけてお詣りすると、千日分の御利益があるということで、とりわけ多くの参拝者で賑わいます。
 愛宕山は標高924m。さほど高いわけではありませんが、車やケーブルで登れるわけでもなく(昔はケーブルカーが設置されていた)、麓の清滝などどから急峻な山道を1時間以上(清滝からのコースタイムは2時間40分ほど)登らなければなりません。写真は午前1時ごろの愛宕神社の境内ですが、夜中の山の頂上とは思えないほどの人で賑わっていました。

(2018年8月1日 愛宕山神社にて)



 夏の久多の風景

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 久多は京都市街地から車で1時間半ほど。バスも通わない北山山中の山里です。この時期久多では北山友禅菊の紫の花園が出現します。北山友禅菊とはチョウセンヨメナという野菊の改良品種で、休耕田を利用して栽培されています。

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 花を撮影もそろそろ切り上げようかと思っていたところ、白馬を連れた里人が現れました。なんでも翌日早朝に花園を散歩させるイベントがあり、その予行で来たようです。夕方で私以外ギャラリーはいません。これは貴重な機会と写真を撮らせていただきました。
 久多は茅葺民家が残る素敵な山里ですが、過疎に直面した地域でもあります。また久多の花笠踊りという国の重要無形民俗文化財に指定された行事も伝承されていて、このブログでも過去に記事にしています(リンク)。

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 田園の花園を白馬が散歩するという、想像上の楽園のような風景を目の当たりにして、夢中でシャッターを切っていました。

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 夏の星空

 市街地から遠く離れた久多の夜は星空も綺麗でした。左下から右上にかけて延びている雲のようなもやが天の川です。左上の輝星が琴座のベガ。七夕伝説の織姫星で、右端の輝星がワシ座のアルタイル。牽牛星となります。

(2018年8月3日 京都久多にて)




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 黄昏の猫
 
 賀茂川にかかる出雲路橋付近でよく見かける猫です。
 橋の名前にあるように、この付近は古代出雲系の人々が住んでいました。京都に遷都され平安京が開かれる遥か前の記憶です。

(2018年8月14日 出雲路橋にて)




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 五山の送り火

 京都の送り火というと「大」の字が有名ですが、他にも妙法、舟形、鳥居などの火文字が京都を取り巻く山に浮かびます。写真は松ヶ崎に点る妙法の法の字を、高野川にかかる高野橋から撮影しました。送り火がくると夏の終わりも近いと思わせます。

(2018年8月16日 高野橋にて)