4月になり桜も咲き始めましたが、寒さがぶり返し満開まで足踏み状態が続いている京都です。

 今回も昨年の写真から、3月の風景をお届けします。昨年は花も早くに咲き出し、3月中には桜も満開になりました。季節的には違和感のない風景をお届けできるのではないでしょうか。


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 興正寺の紅白梅

 西本願寺の隣にある興正寺には整った紅白の梅が門を入ってすぐ、両脇に植えられています。両方ともちょうど見ごろの時期に訪れることが出来ました。

 現在では花といえば桜が思い浮かびますが、奈良時代以前には梅が一般的だったといいます。万葉集に詠われた桜の歌が44だったのに対して梅の歌は119と倍以上です(参考にしたサイト)。しかし、平安時代には逆転、古今和歌集では梅18首に対して桜70首となっているようです。遣唐使など大陸との交流が盛んだった奈良時代には大陸由来の梅への憧れもあったのでしょう。

 この文章を書いている最中に平成の次の元号の発表がありました。万葉集が原典の「令和」とのこと。個人的にタイムリーなニュースだったので一言触れておきたいと思います。
 安倍政権は国書由来ということに拘ったようですが、そもそも元号という制度自体中国由来、そして漢字二字という制限もあっては中国の古典に頼らざる得ないのが実情でしょう。万葉集の梅の花を詠んだ一群の句の序文が典拠とのことですが、上で指摘したように梅の花ということ自体古代中国に逆戻りの感が否めません。万葉集ということで万葉仮名で書かれていると思いきや、典拠の文章は序文であり、漢文そのものです。
初春月、気淑風、梅披鏡前之粉

そしてこの文章自体中国の古典「文選」にある後漢・張衡の帰田賦にある次の文章が元になっているようです。
仲春月、時気清

日本独自色を押し出したいなら漢字二字という制限を無くさなくては難しいでしょう。一方で漢字を排除した大和言葉だけでは日本語は貧相なものとなってしまいます。中国の古典まで日本語に取り込んで豊かな言語に育てた日本人の知恵と努力を誇らしく思います。

 花の地位は桜に譲りましたが梅は今も日本人には欠かせません。日本の代表的な食品といえば、そう梅干です。花ももちろん綺麗ですが、梅の価値をその実に見出して、梅酢、梅干、梅酒など日本人の食文化を支える重要な食品を生み出しました。

(2018年3月2日 興正寺にて)



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 清涼寺お松明式

 京の三大火祭りとはあまり聞きなれませんが、次の三つが挙げられるようです。鞍馬の火祭り、五山の送り火、そして清涼寺のお松明式です。
 嵐山渡月橋から北に歩いてきてどん詰まりにある清涼寺。ここまで歩いてくる観光客も少なく、嵐山付近の混雑からは一転、静かな境内が楽しめるお寺です。ここで3月15日に開かれるのがお松明式です。高さ7mの三本の松明に火を点火しその燃え方でその年の農作物の豊凶を占うといいます。大勢の見物客でごった返した境内にひときわ大きな火柱が燃え上がっていました。

(2018年3月15日 清涼寺にて)



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 ベランダのヤブツバキ

 ベランダで実生から育てていた椿にこの年初めて花が咲きました。真っ赤なぼってりした厚い花弁が妖艶な感じです。都合3輪咲きました。そして今年も3輪花をつけています。
 ツバキに限らず植物の種が手に入るとつい植えたくなります。ちっぽけな丸い種子がその秘められた遺伝子の働きに従い個性的な植物に成長していくことが無性に不思議にそして楽しく思えます。そして、手間をかけて育てた植物が花を咲かせると喜びもひとしおです。他には桜、銀杏、カエデ、ネムノキ、フジ、カキ、クヌギ、ミズナラ、チャンチンモドキ、カリン、などなど。しかし、後先考えず植えた種が発芽し、無手勝流に育って狭いベランダは収拾がつかなくなってしまいました。

(2018年3月18日 自宅にて)



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 ネコヤナギ

 なぜこんな色、造形の芽を膨らませるのか? 自然の営みは驚くばかりです。

(2018年3月18日 京都府立植物園にて)



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 本満寺の枝垂れ桜

 いよいよ桜の季節がやってきました。京都で桜のさきがけというと平野神社のその名もずばり、魁桜という枝垂れ桜や京都御苑の近衛邸跡の糸桜が有名ですが、ここ本満寺の枝垂れ桜も比較的早く咲き始めます。この桜の取り柄はなんといってもその樹形でしょう。ちょっと小ぶりですが周囲に均等に降り注ぐように枝を垂らすその姿は花付きもよく実に見栄えのする桜です。

(2018年3月23日 本満寺にて)



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 御苑の白木蓮

 桜とほぼ同時期に見頃を向かえるのが木蓮の仲間です。庭木としては紫の花色のモクレン(シモクレン、紫木蓮とも)、白い花色のハクモクレン(白木蓮)がよく植えられます。通常モクレンに先立ってハクモクレンが咲き出します。この2種は単なる花色の違いだけではなく種自体が異なります。
 モクレンの仲間は花を咲かせる被子植物の中ではかなり古い系統になります。つまり原始的な植物ということです。見慣れたモクレンですが元は中国原産の外来種です。モクレン属で日本に元からある種としては、コブシ、シデコブシ、タムシバ、ホウノキ、オオヤマレンゲなどがあります。山中でハクモクレンと似た花をつける木はコブシかタムシバということになります。

(2018年3月23日 京都府立植物園にて)



 背割提の桜並木

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 初めての花見

 背割提は京都南部、木津川と宇治川の間に設けられた堤です。三重県から京都南東部の水流を集めた木津川、琵琶湖から流れ出た宇治川、そして鴨川をはじめ京都北部の山間部の流水を集めた桂川、その三つの大河が京都南部八幡市付近で合流します。三川合流です。明治時代は木津川はより上流、淀付近で宇治川と合流していました。しかし淀川の水害などが頻発したため、その防御として現在の合流点に付け替えられました。そしてその間に築かれたのが背割提です。平行して流れる両河川の間を1.4kmに渡って隔てています。その堤に植えられたのがソメイヨシノです。京都の桜の名所というと寺社仏閣などこじんまりとした場所が多いですが、ここは広々とした開放感にあふれ、圧倒的な桜の並木が続きます。

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 つらなる桜花崖

(2018年3月27日 背割提にて)



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 高野川の桜

 自宅から一番近くの桜です。あまり知られていませんがここもソメイヨシノの並木が続く知る人ぞ知る桜スポットです。遊歩道はありますが背割提の様に広々とした空間が少ないのが残念です。

(2018年3月29日 高野川にて)



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 春の散歩道

 こちらは賀茂川沿いの桜並木。鴨川沿いにも個性的な桜が植えられています。北大路から北山通りの間は紅枝垂れ桜。五条大橋周辺も枝垂れ桜。それ以外はソメイヨシノが主です。

(2018年3月30日 賀茂川にて)



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 春爛漫

 ここは修学院にある鷺森神社の参道。ここも地元密着型の花のスポットです。京都市の保存樹に指定されている山桜が参道中ほどにあります。桜以外に特筆すべきは写真に写っているモクレン、そしてその先に椿の大木が沢山の花をつけます。この日は天気もよく、モクレンと桜がちょうど見ごろを迎えていて実に気持ちのよい時を過ごせました。

(2018年3月30日 鷺森神社参道にて)



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 燃えるチューリップ
 
 京都府立植物園も様々な花にあふれる季節になりました。

(2018年3月31日 京都府立植物園にて)