今回、次回と引き続き昨年11月の風景を紹介します。 主に平地の紅葉が中心です。


 貴船のライトアップ
 紅葉シーズン。 各地の名所ではライトアップが開かれます。 ここでは初めて出かけた貴船神社周辺のライトアップの写真を紹介します。

P1490869_1_R
 相生の杉
 貴船神社の御神木。 説明版によれば、

  同じ根から生えた二本の杉。 
  樹齢千年
  相生は「相老」に通じ、
  夫婦共に長生きの意味。

 大木というのは、それ自身で人に感動を与えます。 その希少性もさることながら、生きてきた月日の長さを直感的に感じるからでしょう。 
 杉というと大木に事欠きませんが、京都はその中でも有数の杉の巨木産地でもあります。 神社が多いということもありますが、そればかりではありません。 最近北山花背にある三本杉がなんと日本一高い木ということが判明、報道されました(リンク)。 高さは62.3m。 大昔に訪れてそのたたずまいに圧倒された記憶があります。 上の相生の杉は2本が根元で融合していますが三本杉はその名の通り、3本の真っ直ぐに伸びた杉が根元で融合しています。
 他にも同じ花背から芦生にかけての山中には伏条台杉と呼ばれる怪異な姿の杉が多数点在していますリンク。 屋久杉にも比肩できる存在です。 

P1490871_1_R
 赤色疾走
 奥の宮付近の紅葉を撮ろうと三脚を立てて露出を開始すると、背後から車が通り過ぎていきました。 ほとんど車など通らない場所、時間だったので、予想外の車にこれは失敗とがっかりしましたが、撮れた写真を見てちょっと吃驚。 赤いテールランプが放物線を描き、上部のライトアップされた黄葉とコントラストを描いていていい感じです。 もう一度シャッターを切れば車のない写真も撮れたのですがこの一枚で満足しました。 偶然が生んだ一枚。
 上の2枚の写真をフォトコンに応募したのですが、自分的には気に入っていた下の写真ではなく、上の「相生の杉」が入選しました。 嬉しい反面、ちょっと複雑な気分。 

P1490874_1_R
 貴船神社奥宮神門
 貴船神社は高龗神(たかおかみのかみ)水の神を祭っています。 神社の前を流れる貴船川は京都鴨川の水源の一つです。

P1490892_1_R
 貴船神社本殿
 まだ紅葉には早いですね。

P1490893_1_R
 定番のアングルで一枚。

(2017年11月3日 貴船にて)



P1490900_1_R
 鵺の死
 京都造形芸術大学のキャンパスを歩いていると雉模様の中型の鳥が死んでいました。 あまり見かけない鳥ですが調べるとトラツグミのようです。 夜間に「ヒィーヒィー」と口笛のような鳴き声でなきます。 昔の人はこの声を妖怪鵺(ぬえ)の鳴き声と信じていたといいます。 現代人の記憶からはとっくに滅びてしまった鵺を象徴しているようです。 
 
(2017年11月5日 京都造形芸術大学にて)



P1490975_1_R
 京都の隠れた紅葉の名所、京都府立植物園の半木の森も色付いてきました。

(2017年11月10日 京都府立植物園にて)



P1500018_1_R
 こちらは南禅寺山門の紅葉です。 歌舞伎の中で盗賊石川五右衛門が絶景かな絶景かなという名台詞を吐いた場所として知られています。 最もその時期は秋ではなく春、桜の景色ですが。

(2017年11月13日 南禅寺にて)



P1500029_1_R
 寒桜と紅葉に黄葉。 赤山禅院での一こま。

P1500038_1_R
 赤山禅院の十六羅漢像の頭の上には紅葉が彩を添えています。 誰かが載せたか、自然に載ったのか、深く考えないようにしましょう。 

(2017年11月15日 赤山禅院にて)



 修学院離宮
 一昨年より当日受付で参観できるようになった修学院離宮に出かけてきました。

P1500095_1_R
 修学院離宮は後水尾上皇によって造営された洛北の別荘です。 下・中・上の3つの離宮からなります。 写真は上離宮の御成門。

P1500097_1_R
 上離宮に入って急な道を登って隣雲亭に到着です。 そしてこの景色が目に飛び込んできます。 修学院離宮の定番の構図です。 紅葉も丁度いい感じです。 このあと浴龍池をぐるっと一回りします。

P1500118_1_R
 上離宮の浴龍池の景観。

P1500120_1_R
 同じく浴龍池の景観。

P1500126_1_R
 浴龍池越しに望める岡の上の建物が隣雲亭です。 上の写真で最初に上離宮全体を見下ろした場所です。
 
P1500131_1_R
 下離宮の御幸門付近の紅葉。

(2017年11月17日 修学院離宮にて)



P1500138_1_R
 修学院離宮の近くの赤山禅院に再訪すると、今度はイチョウの黄葉がおつむりに。

 一般的に風景写真や報道写真、スナップ写真では作為を良しとしません。 このイチョウの葉も自然に落ちて偶然頭の上にとどまっていたからこそ価値がでてくるのですね。 一方で、作為、演出が前提という写真の分野もあります。 広告写真などはその際たるものでしょう。 写真の目的が異なるのですね。 そうした目で写真を見るのも面白いかもしれません。
 上の2枚の赤山禅院の場面はどちらも私が載せたのではありませんが、おそらく誰かが載せたのでしょう。 そうした作為をしているカメラマンに出くわすこともしばしばあります。 そして、その行為がよくないと思っているのでしょう。 人目を気にしている様子がありありです。 自分が作為を行ったのでなくともあまりにも出来すぎた場面、写真を見ると作られた景観なのではと疑い、疑われる状況になってしまうのもつまらないものです。 
 白状すれば上のトラツグミの写真の赤い柿の葉は多少位置を動かしています。 元は柿の葉がトラツグミの顔を覆うように落ちていました。 写真を撮るためというより、それ以前、なんの鳥か知るために退けたというほうが正確ですね。

(2017年11月17日 赤山禅院にて)


  
 京都府立植物園にて

P1500182_R
 紅葉もすすんできて植物園を再訪しました。 池の周囲の紅葉の木に2羽のアオサギがとまっていました。

P1500178_1-003_R
 白一点
 アングルを変えて一羽だけ中心にして。 こちらの写真は第9回ナチュラルヒストリーフォトコンテストで佳作を頂きました(リンク)。

P1500204_1-001_R
 嵯峨菊
 菊は古典園芸植物として様々な品種があります。 皇室の紋章に使われるなど日本の象徴ともいえる花ですが、栽培菊の起源は中国に由来します。 日本にも野菊が自生していますが、そうした身近な花でなく、舶来の花をありがたがった日本人の性格は昔から変わらないようです。 ただ、その後の品種改良は日本独自に発展し、中国に逆輸出、そしてヨーロッパにも多大な影響を与えたのでした。 この嵯峨菊も京都嵯峨で発展した古典菊の一つです。

(2017年11月19日 京都府立植物園にて)



P1500212_1_R
 紅葉の名所、真如堂の紅葉。

(2017年11月21日 真如堂にて)



P1500222_1_R
 足繁く通う瓜生山の上り口の北白川からの登り口にある大山祇神社。 小さな神社ですが見事な黄葉と苔むした石塔がいい雰囲気です。

(2017年11月22日 北白川大山祇神社にて)