京都の7月といえば祇園祭です。 祇園祭といえば山鉾巡行がクローズアップされますが、それ以外の様々な行事が7月いっぱい行われます。 お祭の本質からいうと大きく2つのイベントがあります。 神輿が八坂神社から四条寺町にある御旅所に向かう神幸祭(7月17日)、そして、御旅所から八坂神社に帰る還幸祭です(7月24日)。 そして各々の神輿の渡御を祝って町衆が始めたのが山鉾巡行といえそうです。 つまり、山鉾巡行は神輿の渡御の露払い的な役割を担っているといえるでしょう。 そして祇園祭を山鉾巡行の観点からみると、前祭(さきまつり)と後祭(あとまつり)ということになります。 

 今回は京都文月の風物詩、祇園祭の風景をお届けします。

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 鉾立て
 山や鉾は普段は解体されていて、巡行の一週間前くらいから組み立てが始まります。 鉾建て(山建て)といいます。 当然釘などは使わず、ほぞ組みと荒縄による、縄がらみという手法で組み立てられます。 大きな鉾では高さ25m、重さ10トン以上、そこに40人以上の人を乗せて曳き回すのですから、その強度を保つ技術は相当のものです。 こうした縄がらみは最終的には懸装品によって隠されてしまうものですが、芸術的ともいえる美しさに満ちたものです。 まさしく機能美の極致といえるでしょう。

(2017年7月11日 船鉾鉾建て)



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 暮れなずむ四条通り
 巡行日の数日前から前夜までが宵山期間。 京都一繁華な通り、四条通りにも大きな鉾が立ち並びます。 手前が函谷鉾、奥が月鉾。 宵山の夜は最も人が繰り出す期間です。 その混雑たるや大都市のラッシュアワーなみ、身動きが取れません。 この日は宵山初日で歩行者天国もなく人出も程ほど。 

(2017年7月14日 四条通りにて)


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 長刀鉾を望む
 
(2017年7月14日 四条通りにて)



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 長刀鉾巡行
 前祭の山鉾巡行です。 各山鉾の巡行順序は毎年くじ引きで決まりますが、くじとらずといわれる山鉾もあります。 その代表が先頭を行く長刀鉾。 大通りは混雑している上、遠くでしか見られませんが後半、御池通りから新町通りに入ってからは、狭い通りを行く山鉾を間近で見られます。

(2017年7月17日 新町通りにて)


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 山鉾巡行-岩戸山

(2017年7月17日 御池通りにて)


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 私が主役
 ワンちゃんも山鉾見物。 山鉾巡行より多くのカメラマンの注目を浴びていました。 背景は保昌山。

(2017年7月17日 御池通りにて)



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 宵山風情
 前祭りの宵山はとんでもない人出で、のんびり山鉾見物もままなりません。 お勧めは後祭の宵山です。 歩行者天国もなく露店も出ませんが、人出も少なく、比較的落ち着いて宵山風情を味わえます。

(2017年7月23日 南観音山にて)


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 南観音山
 駒形提灯に灯がともり、華麗に装飾された山鉾の上では祇園囃子が奏でられ、粽売りの童歌が耳に届きます。 見るもの聞くもの全てが祭の興奮へといざないます。

(2017年7月23日 南観音山にて)



 山鉾巡行は1966年(昭和41年)に前祭(神幸祭)に一本化されます。 本来後祭で巡行していた山鉾も前祭で巡行していたのです。 経済成長の真っ只中、伝統芸能などより経済発展が優先された時代です。 2日間も京都中心部の幹線道路を占拠して交通を遮断する巡行が槍玉にあがったのでしょうか。 そして後祭の山鉾巡行の代替として始まったのが花笠巡行です。 子供神輿や獅子舞などの古典芸能、花町の芸舞妓などが行列します。 しかし、2014年(平成26年)、後祭の山鉾巡行が復活します。 伝統の祭が見直されたということもあるでしょうが、その観光資源としての価値が重視されたのでしょう。 この年に山鉾巡行のしんがりを勤める大船鉾も150年ぶりに復活しました。 なお、山鉾巡行が復活した後も花笠巡行は健在です。

 さて、以下の写真はその花笠巡行のあと、その巡行参加団体により八坂神社で行われた伝統芸能の奉納の様子です。 まじめに撮影する気はなかったのですが、偶然舞台正面のかぶりつきに押し出されて、それならばと写したものです。

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 祇園太鼓

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 獅子舞

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 六斉念仏

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 祇園甲部芸舞妓による雀踊り

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 宮川町芸舞妓によるコンチキ音頭

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 子鷺踊り

(2017年7月24日 八坂神社にて)


 祇園祭のごく一部をご覧頂きましたが、他にも様々な行事が見白押しです。 暑い7月の京都、過ごしやすいとはいえませんが、生の祇園祭を見にきませんか?