寒くなり生き物の活動も低下します。山に行っても木々は葉を落としひっそりとしています。その分、冬鳥の姿は目立ちますが、寒い中出かけるのが億劫になりがちです。

 多くのキノコもシーズンを終えますが、寒くなる12~1月頃に最盛期を迎えるキノコもあります。
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 ヒラタケです。
 冬の時期に枯れた広葉樹に群生して生えるため、寒茸(カンタケ)と呼ぶ地方もあるようです。栽培も可能でスーパーでもヒラタケ、霜降りヒラタケなどの名称で売られています。一昔前はヒラタケシメジやシメジなどと名称を偽って売られていました。今昔物語などにも登場する昔からよく知られた食菌です。西欧でもオイスターマッシュルームと呼ばれよく食べられています。

 さて、このヒラタケ、瓜生山周辺では結構普通に見られます。近年ナラ枯れ病が広まり、枯れた樹木が増えたことも影響しているのかもしれません。生える木には数年に渡って生えるのでそうしたシロを見回り採取できます。寒い時期に生えるので痛みも少なく成長後、時間がたっても採取できるのもよい点です。夏に生えるキノコではこうは行きません。時にヒダに丸い粒粒がびっしり付いていることがあります。これはキノコバエが持ち込んだ線虫が形成したもので白コブ病と云われています。見た目は気持ち悪いですが特に害はありません。線虫自体は小さいので見えませんが、気になるのであれば洗う際にこすって落とせます。外見ではわかりませんがキノコバエやショウジョウバエの幼虫が巣食っていることもあります。寒い時期で少ないですが、これも気になるようなら水に漬けておくとある程度出てきます。ヒラタケに限らずハエの幼虫の食害は野生のキノコでは避けられないところです。なによりこのキノコのありがたいことは写真のように大量に群生し、時に非常に大型になることです。
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 20cmをゆうに越える大型のヒラタケ。
 この写真を撮った後、採取しようとしたら落下させてしまい谷底に転げ落ちてしまいました。つい、止まれ!と叫びましたがその声むなしく数十メートル下の谷底まで転がり落ちていきました。急な斜面を木につかまりながら慎重に降りて探しましたが見つかりません。その日は薄暗くなり始めていて探すのを断念しました。あきらめきれず翌日再度探しに行き無事見つけることが出来ました。この株以外にも既にザックに入りきらないほど採取していたのにあさましいものです。
 こうして、この時期食卓はヒラタケ料理が増えることになります。肉質がしっかりしていて煮込んでも歯ごたえが残ります。癖もなく、きのこらしい旨みに満ちた上質のものです。どんな料理にも合いますが、新鮮なものであれば単純にタマネギなどと塩コショウで炒めるとその旨みが最大限に生かせる気がします。しかし、せっせと食べても追いつきません。かといって生えているのを見つけるとついつい採取してしまいます。かくして食べきれないヒラタケが蓄積していきます。冷蔵庫での保存もたかが知れていますし場所をとります。キノコの保存は冷凍、塩漬け、乾燥などいろいろありますが、もっぱら乾燥しています。適当に裂いて外に放置しておけば1週間もすればからっからに干からびます。これでシーズンが終わっても長く楽しめるでしょう。


 最近の瓜生山周辺の写真から、

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 とある日(12月22日)の瓜生山山中にて。光のシャワーが森の中に注ぎこんできました。この光芒、目では見えませんが、以前書いた中国製格安レンズFujianのおかげで見事なフレアとなって写真に定着しました。

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 1月28日は瓜生山山腹にある狸谷不動(狸谷山不動院)の初不動ということで訪れました。ご覧の狸がお出迎え。

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 山の中腹にある狸谷不動へは200段以上ある石段を登らなければなりません。普段は観光客などほとんど訪れませんが、この日は護摩が焚かれ笹酒の接待があり、多くの人で賑わっていました。写真ではほとんど写っていませんが普段に比べれば相当の賑わいです。清水寺のような懸崖造りの本堂はなかなか立派です。
 余談ですが護摩焚きで修験者が太鼓と共に唱えるお経を聞いていると、これは言葉による演説というより音楽による心の教化、それもラップと呼ばれるものに非常に似通ったものを感じます。

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 懸崖造りの舞台の上は高度があるので見晴らしが良いかというと、ご覧のように、木々に遮られごく狭い範囲でしか眺望が得られません。ちょっと残念なところです。