京都北山のなかでもっとも山頂に達するのが困難な山の一つが天狗峠(天狗岳)といえるかもしれません。京都大学の芦生演習林の外周の尾根からすこし演習林内に入ったところにあり、地形図、エアリアマップなどにも正式な登山ルートは通じていません。それだけに原生の自然環境を残した山域といえるでしょう。峠といいますが、この付近ではピークに峠と名付ける場合があり、天狗峠もピークを有する立派な山です。もっとも最近では天狗岳と表記されていることが多いので、本稿でも天狗岳に統一します。
私も天狗岳は未踏でした。以前、昭文社のエアリアマップ(1996年度版)に尾根伝いに数キロ南にある小野村割岳から破線が通じていて、コースタイム12時間とあり、どれだけ藪がひどいのか恐れをなしたものです。
今夏、花笠踊を見に久しぶりに久多を訪れたときに上流の滝谷と岩屋谷出会いまで偵察してきて、帰って情報を集めると滝谷から道はないものの登っている記録が結構あることを知りました。そこでひそかに機会を狙っていたのです。
秋になり紅葉には少し早いかもしれませんが藪も減ったであろう秋晴れの一日、久多から登ってきました。
バイクで久多に行き、さらに久多川をさか登ります。岩屋谷と滝谷の合流点でバイクをデポ、滝谷に沿った林道を歩き始めます。ほどなくして林道も途絶え沢沿いのあるかないかの踏み跡を辿ります。
そして現れるのが馬尾滝です。形が馬の尾に似ていることからの命名でしょう。なかなか立派な滝です。
さて、この分岐からはいくつかルートはあるようですが(どれも道はない)天狗岳直下に延びる向かって右の谷に歩を進めました。
谷自体は困難な所はほとんどありませんが、上部に行くに従い傾斜が急になり、水もなくり、とんでもない急な枯沢に不安が沸きます。地図を見ても左右どちらにそれても尾根直下の急斜面は避けられそうにないので腹をくくり手足をフルに活用して攀じ登り尾根にたどり着きました。想定どおり天狗岳への分岐点付近です。分岐付近には素晴らしい芦生杉の巨木が存在します。そしてここから天狗岳までの尾根筋も芦生杉の巨木とブナのオンパレードです。
928mの天狗岳山頂に到着です。人里離れた原始の森で昼食にします。
山頂からもとの分岐まで戻り北東に延びる尾根伝いに三国岳に向かいます。尾根は多少の踏み跡はありますが赤テープなどの目印はほとんどありません。途中の936のピークもそれを示す標識などみあたりませんでした。尾根をはずしやすい場所が何箇所かありましたが地図を確認しながら注意深く進めば道自体に困難はありません。
ほとんどブナや杉を主体とした樹林帯ですが一箇所草原が広がり展望の良い場所がありました。
見事なブナの巨木です。
キノコに期待していたのですが、晴天が続いていて不調です。写真は枯れたブナの立ち木に生えていた干からび気味のツキヨタケ。以前も書きましたが中毒例の多い毒キノコ。もう少しするとナメコが大量に採れるのでしょうが。
尾根を順調に進み久多に下る分岐に出会います。三国岳に近づくに従い人の痕跡も増えてきます。この分岐からは三国岳までは一登りです。
959mの三角点のある三国岳山頂。今は京都府と滋賀県の境ですが、昔は丹波、山城、近江の境であることに三国岳の名前が由来します。ややこしいことに、ここから北北西約4kmのところに、京都、滋賀、福井の境となる三国峠が存在します。こちらも三国岳と呼ばれることもあり紛らわしいです。
三国岳からは先の分岐まで戻り久多に降ります。今回のルートで唯一地図に登山道として記載されているルートです。分岐から少し下ると巨大な芦生杉が鎮座していました。
この付近は京都府立大学の久多演習林となっていてその管理舎が見えてきました。
この先は林道となりバイクをデポした滝谷との出会いまでは一息です。この谷沿いもトチノキの巨木が次から次に現れ素晴らしい環境です。時間も遅く薄暗い谷あいのため写真は撮りませんでしたが、日の高い時間にゆっくり歩いてみたいところです。
(2015年10月16日歩く)
私も天狗岳は未踏でした。以前、昭文社のエアリアマップ(1996年度版)に尾根伝いに数キロ南にある小野村割岳から破線が通じていて、コースタイム12時間とあり、どれだけ藪がひどいのか恐れをなしたものです。
今夏、花笠踊を見に久しぶりに久多を訪れたときに上流の滝谷と岩屋谷出会いまで偵察してきて、帰って情報を集めると滝谷から道はないものの登っている記録が結構あることを知りました。そこでひそかに機会を狙っていたのです。
秋になり紅葉には少し早いかもしれませんが藪も減ったであろう秋晴れの一日、久多から登ってきました。
バイクで久多に行き、さらに久多川をさか登ります。岩屋谷と滝谷の合流点でバイクをデポ、滝谷に沿った林道を歩き始めます。ほどなくして林道も途絶え沢沿いのあるかないかの踏み跡を辿ります。
そして現れるのが馬尾滝です。形が馬の尾に似ていることからの命名でしょう。なかなか立派な滝です。
滝伝いには登れないので右岸を大きく高巻きます。明瞭な高巻き道が存在します。馬尾滝の上にも綺麗な滑滝が見下ろせます。これらの滝があるので滝谷の名が付いたのでしょう。嵩巻き道を経て滝群の上流に降り立ちしばらくで3つの谷が合流した地点に到着します。ここには立派なトチノキが聳えていました。
尾根を越した芦生の森と同様にこの付近の谷沿いはトチノキの巨木が多く、すぐれた景観を作りだしています。
さて、この分岐からはいくつかルートはあるようですが(どれも道はない)天狗岳直下に延びる向かって右の谷に歩を進めました。
谷自体は困難な所はほとんどありませんが、上部に行くに従い傾斜が急になり、水もなくり、とんでもない急な枯沢に不安が沸きます。地図を見ても左右どちらにそれても尾根直下の急斜面は避けられそうにないので腹をくくり手足をフルに活用して攀じ登り尾根にたどり着きました。想定どおり天狗岳への分岐点付近です。分岐付近には素晴らしい芦生杉の巨木が存在します。そしてここから天狗岳までの尾根筋も芦生杉の巨木とブナのオンパレードです。
ブナなどの黄葉が主体ですが所々目の射るような紅葉が目を楽しませてくれます。
928mの天狗岳山頂に到着です。人里離れた原始の森で昼食にします。
山頂にあった切り株も天然の彫刻作品に見えてきます。ここから西に下りると由良川の源流域で、芦生の森でももっとも人の入らない核心部です。芦生の森もあれこれ歩いていますが本流の遡行は未体験です。機会があれば歩いてみたいところです。
山頂からもとの分岐まで戻り北東に延びる尾根伝いに三国岳に向かいます。尾根は多少の踏み跡はありますが赤テープなどの目印はほとんどありません。途中の936のピークもそれを示す標識などみあたりませんでした。尾根をはずしやすい場所が何箇所かありましたが地図を確認しながら注意深く進めば道自体に困難はありません。
ほとんどブナや杉を主体とした樹林帯ですが一箇所草原が広がり展望の良い場所がありました。
見事なブナの巨木です。
キノコに期待していたのですが、晴天が続いていて不調です。写真は枯れたブナの立ち木に生えていた干からび気味のツキヨタケ。以前も書きましたが中毒例の多い毒キノコ。もう少しするとナメコが大量に採れるのでしょうが。
尾根を順調に進み久多に下る分岐に出会います。三国岳に近づくに従い人の痕跡も増えてきます。この分岐からは三国岳までは一登りです。
959mの三角点のある三国岳山頂。今は京都府と滋賀県の境ですが、昔は丹波、山城、近江の境であることに三国岳の名前が由来します。ややこしいことに、ここから北北西約4kmのところに、京都、滋賀、福井の境となる三国峠が存在します。こちらも三国岳と呼ばれることもあり紛らわしいです。
三国岳からは先の分岐まで戻り久多に降ります。今回のルートで唯一地図に登山道として記載されているルートです。分岐から少し下ると巨大な芦生杉が鎮座していました。
この先、谷に降り立つまでは相当の急斜面の滑りやすい道が続きます。補助ロープなどの整備もなく一歩一歩慎重に下っていきます。この谷沿いには3つの岩屋があり岩屋谷の名前の由来となっています。上から三の岩屋はルートから逸れていたので立ち寄らず、二の岩屋は気付かず、一番下の一の岩屋の写真となります。
この付近は京都府立大学の久多演習林となっていてその管理舎が見えてきました。
この先は林道となりバイクをデポした滝谷との出会いまでは一息です。この谷沿いもトチノキの巨木が次から次に現れ素晴らしい環境です。時間も遅く薄暗い谷あいのため写真は撮りませんでしたが、日の高い時間にゆっくり歩いてみたいところです。
今回歩いたルートはほとんど道がありません。とくに滝谷から天狗岳まではまったくの原始境です。ルート判断を誤るとにっちもさっちもいかない状況になりかねません。初心者は安易に立ち入らないようにしてください。
(2015年10月16日歩く)
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