7月31日のブルームーンのとき満月の写真を載せましたが(リンク)、満月以外の写真も紹介しましょう。満月から6日後、8月6日、月齢21の月です。

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 機材は以前と同じ、口径5cm焦点距離600mmのアクロマート望遠鏡の直焦点撮影です。

 欠け際は太陽の光が斜めに当たるため、クレーターが立体的に見えてきます。
 クレーターの正体は、以前は、火口であるとか彗星など小天体の落下跡であるとか言われていましたが、現在では、そのほとんどは小天体の落下跡と考えられています。 月には大気も水もなく、風化、浸食などおきません。さらに地球で見られる、造山運動やプレートテクトニクスのような動きも存在しません。地球は内部には熱をもった生きた惑星ですが、月は冷え固まった死んだ天体なのです(このへんはまだ不明なところがあるようですが)。唯一、地形を改変する力は外部からの飛来物なのです。よって、何億年も前に落下した天体の痕跡がそのまま残り続けます。では、クレーターの密集した所と、ほとんど存在しない所があるのは何故なのでしょうか?
 写真の左側は全体的に暗い色をしていてクレーターが少なく、水はありませんが”海”と呼ばれます。こうした地形はどうして生じたのでしょうか? 実は、大昔は月も熱を持ち、火山活動を行っていたといわれています。火山活動で作り出されたマグマが巨大クレーターの底からあふれ出し、クレーターを埋め平原を作り出し、それが海となったといわれています。さらに重要なことは、クレーターを作るような小天体の落下が、そうした火山活動が起こる以前に集中して起こっていたということです。太陽系が造られた当初、惑星になりきれなかった小天体が多数存在し、それらはぶつかりあい、既存の天体に落下し、数を減らしていきました。火山活動によって作られた平原が出来てからは、落下する天体も減少し、現在もクレーターの少ない海として存在しているのです。そして、海があることで、われわれ日本人は餅をつく兎を月に見出し、月への思いを広げたのでした。