前回東急ハンズで売っている偏光板を利用した簡易PLフィルターの作成のお話をしました。
今回は他の用途もお話しておきましょう。

最初に偏光板を利用してNDフィルターの代用にする例を紹介します。
前回2枚の偏光板を重ねると重なったところの光の透過率が重ね方により変わることを示しました。
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この減光作用は光の波長、つまり色には無関係です。色に関係なく光量全体を重ね合わせの角度を変えることで自由にコントロールできるのです。 これはNDフィルターの作用と同じことです。NDフィルターは光全体を減光するものです。明るいところで絞りを開けて使いたい、露光時間を延ばし独特の表現を生みたい、などの用途で用いられます。通常はND2、ND4などと減光の程度によりフィルターを使い分けます。数字が大きいものほど減光の程度が大きくなります。偏光板を2枚重ね合わせることて可変のNDフィルターの代用が出来るのです。

東急ハンズの偏光板2枚を利用したNDフィルター効果を使った作例をあげておきましょう。
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 音羽の滝をスローシャッタスピードで水の流れを強調したものです。谷あいの日陰ですが簡易NDフィルターの効果でシャッタースピードは20秒です。
偏光板を完全に直交させれば理論上完全に遮光されますし、非常に強力なND効果も期待できますが、あまり極端に減光するのは避けたほうがよいです。所詮ぺらぺらな偏光板であり、それを2枚重ねることでどうしても減光具合にムラが出ます。減光効果が少なければ目立ちませんが、強力な減光効果を期待するとムラや色の偏りが目に付いてきます。あくまで簡易NDフィルターと心得ておくべきです。

注意点として望遠鏡や望遠レンズなどで太陽を拡大して直接観察、撮影するなどの用途で、この減光フィルターを利用してはいけません。こうした用途では熱が問題になってきます。光のうちでも赤外線は熱線とも呼ばれ熱を与える効果があります。そして通常の偏光板は赤外線には効果がないのです。つまり減光されていないことになります。赤外線は目で見えない分、たちが悪いといえます。覗いているあなたの目や撮影素子に悪影響を及ぼします。

最後に写真撮影とは違ってきますが、偏光板を使ったお遊びを。
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この写真は液晶モニターの上にセロハンテープを重ねて貼りあわせたシートを載せ、それを丸い偏光板を通して見たものです。偏光板を通ったところだけステンドグラスのように複雑に色がついているのがわかると思います。
液晶モニターを利用しているところが重要です。つまり偏光を通して見ているのです。白色光源を使うのであれば2枚の偏光板の間にセロテープのシートーを挟んでも同じく色がついて見えます。
 
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同じセロテープの貼りあわせたシートを液晶モニタにのせ簡易PLフィルターを回転させて撮ったものです。シート自体は同じものですがPLフィルターの回転で色が変わってきます。万華鏡のようです。

何故色がつくのかを説明するのは非常に難しく、私自身人に説明できるだけの理解を有していません。要は複屈折という性質を有する物質が色がつくということです。セロハンテープは複屈折性を示すのです。他には様々な物質の結晶が複屈折性を示します。
下は味の素として知られているグルタミン酸ナトリウムの結晶を偏光板を挟んで拡大撮影したものです。
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偏光顕微鏡というものがありますが、これも同じ原理で偏光を当てて複屈折性や偏光を観察して物質の性状を知るものです。純粋に科学的な実用機器ですが、写真表現としても面白いものです。
このページなどを見ると偏光顕微鏡を通してみる物質の世界は限りないアートの世界に直結していることがわかります。